プロフィール

熊本尚美
(ショーロフルーティスト、作曲家)

フルート(オープンG#):
ヘインズ (総銀、スチューデントモデル) - No.8924 (アメリカ、1927)
ルイ・ロット (洋銀) - No.7176 (フランス、1902)

アルトフルート(オープンG#):
サンキョウ(頭部管銀) - No.71690 (日本)

ピッコロ(オープンG#):
フランツ・O・アドラー (東ドイツ、1910~20?)




兵庫県神戸市出身。幼少の頃にピアノを始め、ヤマハ音楽教室で音楽の基礎を学ぶ。 中学校のブラスバンドでフルートを手にし、中・高6年間はブラスバンドでフルートを担当する。大阪教育大学特設音楽課程フルート専攻卒業後は、ニューフィルハーモニー管弦楽団、大阪音楽大学オペラハウス管弦楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、大阪シンフォニカー交響楽団、オーケストラアンサンブル金沢等主要オーケストラの客演奏者としての活動を中心に、スタジオ録音等でも活躍する。高橋成典氏、中務晴之氏に師事。

ある日、偶然耳にしたブラジルのインストゥルメンタル音楽「ショーロ」、瞬時にしてその魅力の虜になってしまう。なんとかそのショーロの演奏を実現したいと思っていた矢先、 2000年に来日した現代ショーロを代表するギタリストで作曲家マウリシオ・カヒーリョとの出会い、それをきっかけに翌年3ヶ月間、聖地リオデジャネイロに滞在しショーロを学ぶ。ショーロ専門レコード会社アカリレコードにおいて、アウタミーロ・カヒーリョ、トニーニョ・カハスケイラ、ナイロール・プロヴェータ、ジョルジーニョ・ド・パンデイロ、マウリシオ・カヒーリョ、ルシアーナ・ハベーロ等、数々の著名なショーロアーティストとの競演でレコーディングをする。帰国後は、ギタリスト笹子重治氏(ショーロクラブ)の協力を得て、精力的に日本でショーロの普及活動を開始、全国で演奏活動を展開しながら、ショーロの普及には不可欠な「ホーダヂショーロ」(セッションの場)を、活動の中心地大阪で定期的に始めた。そのホーダは熊本尚美不在の現在も続いている。
2003年、ショーロに専念するため、これまで専門としてきたクラシック音楽活動にピリオドを打つ。オリジナルショーロを収録したファーストアルバム「Naomi vai pro Rio(尚美リオへ行く)」(アカリレコード、2001~2002年リオデジャネイロ録音)を発表、東京、名古屋、大阪、岡山、リオデジャネイロで発売記念コンサートを開催。

2004年、フェリシモの文化協賛金を基にリオ神戸姉妹都市提携35周年記念「神戸ブラジル音楽フェスティバル」を企画、マウリシオ・カヒーリョ、ルシアーナ・ハベーロ、ペドロ・アモリン、セウシーニョ・シルヴァをリオデジャネイロから招聘し、ショーログループ「5 no Choro」を結成、フェスティバル参加の他、日本全国ツアーを実施する。フェスティバルでは、日本からプロ・アマを含めた40組のブラジル音楽を演奏するグループが参加したほか、5 no Choroのメンバーを講師に迎えて日本で初めて行われたショーロのワークショップに約80名の日本人が受講したのは画期的な出来事となった。同年9月、ショーロ専門の演奏家として活動するため、生活の拠点をリオデジャネイロに移した。

2005年、前年のフェスティバルの成功を受けて、グループ「5 no Choro」は再び日本へ招かれ、7都市(東京、武蔵野、横浜、名古屋、大阪、岡山、白石)で9公演とワークショップを行う。来日記念盤としてCD「5 no Choro」(アカリレコード)を発表。また、中央アート出版社より、日本初のCD付楽譜集「フルートとギターのためのショーロコレクションvol.I」を出版。リオでは、「リオのショーローブラジルの音楽」という9枚組CDボックス(アカリレコード)のレコーディングに参加する。2006年9月、「屋根の上の牛」(ダリウス・ミヨー作曲)をショーロテイストで演奏するグループ「Caldereta Carioca」の一員としてベルリン公演に参加。12月にはギタリスト、パウロ・アラガゥンを伴い日本へ帰国、東京、大阪、名古屋、白石、鎌倉でコンサートとワークショップを行なった。


2008年、日本ブラジル移民百周年祝祭のためブラジルを訪問された皇太子殿下へ捧げる「ショーロの夕べ」を在リオデジャネイロ日本総領事館総領事公邸にて開催する名誉を与えられ、移民開始当時のショーロを披露させていただいく機会に恵まれた。

現在は、ブラジル国内での演奏活動やレコーディング活動はもとより、ドイツ、フランスでもコンサートやワークショップを行い、意欲的にショーロの普及に努めている。リオでは、800人の生徒を有するEscola Portátil de Musica(リオのショーロ学校)のフルート講師を務めており、また生徒による室内オーケストラ「カメラータ」の指揮者としても指導に当たっている。 2004年、2006年、2007年、2008年、2010年と「ブラジル全国ショーロフェスティバル」の講師としても招かれている。管楽器専門雑誌「ブラストライブ」にショーロについての記事を連載している。リオデジャネイロ在住。






*参加作品

[CD]
-Naomi vai pro Rio (2003)
-5 no Choro(2005)

-Principios do Choro (2002)
-Choro Forrozado de Zé de Elias (2002)
-Coleção Joaquim Callado – o pai do chorões (2004)
-Choro Carioca (2006)
-Época de Choro (2006)
-Rancho Carnavalesco Flor do Sereno (2007)
-Jacarandá, Doug de Vires meets Mauricio Carrilho (2007)
-Choro Ímpar, Mauricio Carrilho (2007)
-Glória Bomfim, Santo e Orixá (2007)
-Nailor Proveta, Brasileiro Saxofone (2009)

[CD付音楽絵本]
子供のためのブラジルポピュラー音楽の歴史(2007)
ペドロとショーロ (2008)

*著書
フルートとギターのためのショーロコレクションvol.1(CD付)、中央アート出版社